宮崎経済の今とこれから。地域企業が取るべき"次の一手"

宮崎の企業経営者たちはいま、静かな危機に直面しています。
取引先の構造変化、若手人材の流出、そしてデジタル格差——。有効求人倍率は1.27倍を維持し、119か月連続で1倍以上を保つ堅調な雇用環境の一方で、慢性的な人材不足が常態化しています。

数字が示す現実は深刻です。 宮崎県の人口は2025年8月時点で約102万人に減少し、このままのペースでは2030年には100万人を割り込み、2050年で79万人、2070年には60万人を下回ると予測されています。

65歳以上の高齢者はすでに30％を超え、若年層の県外流出は全国平均を上回るペースで続いています。 さらに、令和4年度の宮崎県内総生産(名目)は3兆7,669億円(全国39位)に留まり、鉱工業生産指数は3年連続で低下、企業倒産も増加傾向にあります。
2025年問題による「後継者難倒産」は全国で332件と過去2番目の多さを記録し、宮崎県でも後継者不在率49.2%という厳しい状況です。

しかし一方で、全国では「地域企業×共創×デジタル」による新しい成功モデルが次々に生まれています。愛媛県や滋賀県米原市では自治体DXにより住民サービスと業務効率化を両立し、会津若松市ではBPO活用で企業誘致と生産性向上を実現しています。岐阜県のさるぼぼコインや埼玉県川越市の小江戸ペイなど、地域通貨を軸にした経済循環の成功例も広がりを見せています。

宮崎の企業はいま、構造的な課題に向き合っています。それは単なる景気循環ではなく、仕組みの不足によるものです。

1. 人材の偏在と採用難

有効求人倍率は1.27倍でも、若手人材の県外流出は止まりません。
建設業では高校卒業者の離職率が42.4%(全国平均37.0%)に達し、人材定着が最大の課題です。2030年には九州・沖縄全体で46.5万人もの人手不足が予測され、宮崎県もその影響を強く受けるとされています。
人材不足倒産も現実味を増し、2025年問題による後継者不在の廃業予測も深刻化しています。経営者が70歳以上の企業は全国で約245万社に達し、そのうち約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面しています。

2. デジタル化の停滞

宮崎県は2023年度を「みやざきデジタル化元年」と位置付け、「宮崎県デジタル化推進計画」を策定しましたが、中小企業の現場ではDXが進まず、「スキル・人手・時間の不足」がBCP策定率の低迷(15.3%)にも表れています。
2025年版中小企業白書によると、全国の中小企業のDX推進最大の課題は「DXに関わる人材が足りない(28.1%)」と「ITに関わる人材が足りない(24.9%)」です。
地方中小企業の生成AI導入率はわずか9.9%に留まり、デジタル格差が拡大しています。 IT導入補助金や産業デジタル実装支援など公的支援は充実していますが、それを実行に移す体制が企業側に整っていないのが実情です。

3. 地域間の分断と情報不足

行政、企業、クリエイターがそれぞれ頑張っているのに、連携の仕組みが足りません。情報が分断され、せっかくの支援制度も届きにくく、企業同士の学び合いや横展開も限定的です。
全国では官民連携による共創モデルが成果を上げているのに対し、宮崎ではその土台となるネットワークがまだ薄い状況です。

宮崎には資源・人柄・信頼関係という強みがあります。
それを支える新しい仕組みこそが、デジタル共創基盤です。 全国の成功事例から見えるのは、「単独突破型」から「共創連携型」への転換です。
長野市の観光DXは顧客データ分析により満足度を向上させ、島根県の建設業や岩手県の老舗和菓子屋はDXで生産性と販路を拡大しました。こうした事例に共通するのは、外部人材・技術・知見を地域企業が柔軟に取り入れた点です。

共創の力:行政×企業×クリエイターが一体化する地域づくり

宮崎県は「付加価値向上チャレンジ企業」選定制度で、人材育成と賃上げを通じた地域経済のけん引を推進しています。
しかし企業単独では限界があります。行政の制度設計、企業の現場実行力、クリエイターのデザイン・発信力が三位一体で動く仕組みこそが、地域成長の鍵です。

デジタルの力:小さな企業でも、SNS・AI・ツールで全国発信が可能

会津若松市や愛媛県のようにデジタル基盤を整備すれば、規模の小さな企業でも全国に発信し、新たな市場を開拓できます。
SNS、AI、ノーコードツールなどは、もはや大企業の専売特許ではありません。
総務省の情報通信白書によると、日本企業のデジタル化課題として「人材不足(48.7%)」が他国と比較して圧倒的に高い一方、2024年時点で全くデジタル化に着手していない企業の割合は12.5%まで減少しており、大幅な改善が見られています。

HALHAREは、地域企業が外部とつながりながら変わるための共創型エンジンです。机上の理想論ではなく、実行の現場に並走するチームとして、以下のステップで支援を行います。

ステップ	概要	目的
1. 経営課題の可視化	経営・採用・広報の現状を整理し、本質的な課題を抽出します。データに基づく客観的な分析により、優先順位を明確化します	方向性の明確化
2. 共創チームの形成	外部人材・地域クリエイター・行政支援をつなぎ、最適なチームを編成します。企業の成長段階と課題に応じた柔軟な体制を構築します	実行体制の構築
3. デジタル導入・運用	SNS・DX・ブランディングを伴走支援し、継続的成長の基盤を作ります。小さく始めて段階的に拡大する現実的なアプローチです	継続的成長へ

まとめ:宮崎から未来を描くために

宮崎経済の未来は、「つながり直す力」にかかっています。
人口は102万人に減少し、後継者不在率49.2%、企業倒産が増える中でも、全国の成功事例は「共創とデジタル」で道を切り開いています。
経営の課題は、もはや1社で解く時代ではありません。
地域で解く時代です。 宮崎県内総生産3兆7,669億円という経済規模の中で、一つ一つの企業が持続的に成長し、地域全体の付加価値を高めていく——そのためには、外部とつながり、デジタルを活用し、新しい仕組みを取り入れることが不可欠です。
HALHAREは、その「最初の一歩」を共に描く存在として、宮崎の企業とともに歩みます。

参考資料・データ出典

• 宮崎県 統計調査課「宮崎県経済動向 2025年6月」
• 日本銀行宮崎支店「宮崎県金融経済概況」
• 中小企業庁「中小企業白書 2025年版」
• 総務省「情報通信白書 令和6年版」
• 東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」
• 帝国データバンク「後継者難倒産の動向調査 2025年」
• 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
• 宮崎県「みやざきデジタル化推進計画」