【宮崎の未来を本気で考える】年間435億円が県外へ流出する構造をどう変えるか

データで見る地域経済の現状と、行政・企業・県民が共に挑む5つの戦略
「自分たちで、自分たちの地域を回す。」

この当たり前が、なぜ30年間実現できなかったのか。批判ではなく、構造的課題として向き合う時が来ています。

📊 宮崎県予算6,679億円は、どこへ流れているのか

宮崎県の令和7年度(2025年度)予算は6,679億円。その内、公共事業費は1,052億円を計上しています。

この「宮崎の税金」がどのように使われ、どれだけ地域に還元されているか――この問いから目を背けることはできません。

データが示すのは、予算の一部が東京・大阪・仙台など県外へ流出し続けている現実です。

📉

【データで見る現状】県外発注の実態:令和6年度実績

宮崎県が公表した「県内企業優先発注及び県産品の優先使用等に係る実施方針の令和6年度実績」から、県外流出の実態が見えてきます。

📉 公共工事の発注先内訳(令和6年度)

区分 県内企業 支店等 県外企業 合計
金額ベース 78.3% 4.1% 17.6% 100%
件数ベース 92.4% 4.1% 3.5% 100%

出典: 宮崎県総合政策課 令和6年度実績報告書

一見、金額ベース78.3%の県内発注率は健全に見えますが、報告書にはこう記されています:

「建設工事については、宮崎県陸上競技場や宮崎県体育館をはじめ、真幸トンネル工事等の大型工事が県外企業への発注となり、8割弱の県内発注率となっている。」

つまり、高額案件ほど県外に流れている構造です。

💸 委託業務・情報システムの県外依存

分野 県内発注率 県外発注率
情報システム調達 28.1% 71.9%
物品等調達 48.3% 51.7%
業務委託 67.6% 32.4%
使用賃借 24.2% 75.8%

出典: 同上

県の報告書は理由をこう説明しています:

「県の情報システムは規模が大きく、専門性の高いシステムが多いことから、県外企業が受注する割合が高くなっている。」

この「専門性=県外依存」の図式は、地元企業に経験を積む機会を与えてこなかった結果とも言えます。

🔍 【具体例】令和7年度の委託事業から見える構造

宮崎県が令和7年度に実施した企画提案競技(プロポーザル)の受託企業を見ると、県外大手への依存傾向が見て取れます。

📌 事例1: DX推進事業

事業名: みやざきDXモデル企業創出事業
受託企業: 有限責任監査法人トーマツ
本社所在地: 東京都千代田区
宮崎拠点: 宮崎連絡事務所(宮崎市広島)
応募者数: 1者のみ

考察: トーマツは世界的なコンサルティングファームであり、専門性は疑いようがありません。しかし、契約金の多くは東京本社へ入り、宮崎での雇用創出や地元企業へのノウハウ移転には繋がりにくい構造です。

出典: 宮崎県産業政策課 企画提案競技結果

📌 事例2: 外国人材支援事業

事業名: 令和7年度宮崎県外国人材受入・定着支援センター設置・運営等業務
受託企業: 東洋ワーク株式会社
本社所在地: 宮城県仙台市青葉区
宮崎拠点: カリーノ宮崎地下1階(運営拠点)

考察: 東洋ワークは全国34拠点を持つ大手人材サービス企業です。宮崎拠点で雇用は生まれますが、契約金の大部分は仙台本社へ流れます。

出典: 宮崎県産業政策課 企画提案競技結果

💡 構造的な課題:「中抜き」の実態

県外大手が受託した後、実際の業務を地元企業に「孫請け・ひ孫請け」として再発注するケースがあります。

想定例: 3,200万円で受託した県外企業が、地元制作会社に800万円で再発注。差額2,400万円は「マネジメント費・間接費」として県外へ流出。地元企業は低単価での受注を余儀なくされ、成長機会を逸します。

これは個別企業の問題ではなく、「発注の仕組み」そのものの課題です。

💸 【試算】年間どれだけの資本が県外へ流出しているか

宮崎県の令和4年度(2022年度)県内総生産(GDP)は3兆7,669億円。県の予算規模は約6,679億円で、GDPの約17.7%を占めます。

📊 推定年間流出額の計算

前提条件:
  • 公共工事の県外流出: 17.6%(金額ベース)
  • 情報システム・委託業務の県外流出: 平均50%
  • 公共事業費: 1,052億円
  • 委託費等(推定): 約500億円
公共工事流出額: 1,052億円 × 17.6% = 約185億円
委託費等流出額: 500億円 × 50% = 約250億円
年間推定流出額: 約435億円
(宮崎県GDPの約1.2%に相当)

この数字が意味すること

宮崎から毎年"中規模市の予算1年分"が県外へ流出している計算になります。

10年間
約4,350億円流出
30年間
約1兆3,050億円流出

この30年間で、宮崎は1兆円規模の経済循環機会を逸してきた可能性があります。

🔄 【図解】お金の流れの構造

宮崎県民(納税者)
↓ 税金
宮崎県予算
6,679億円
【ここで分岐】
【県内循環】
地元企業へ
✓ 霧島酒造
✓ 地元IT企業
✓ 地元建設会社
地元雇用
地元調達
税収還元
→ 再循環 ✓
【県外流出】
東京本社企業へ
トーマツ(東京)
東洋ワーク(仙台)
大手コンサル
【流出】
東京へ / 仙台へ / 大阪へ
→ 宮崎に戻りにくい ⚠️

⚖️ 【構造的課題】なぜ県外依存が続くのか:行政のジレンマ

県外大手への依存は、「担当者の無能」や「保身」で片付けられる問題ではありません。行政の現場には、構造的なジレンマが存在します。

🔒 行政が直面する「リスク管理の壁」

ジレンマ①:瑕疵担保責任と賠償能力

「地元IT企業に数千万円のシステム開発を任せたい。でも、万が一サーバーダウンで県民サービスが停止したら、彼らに数億円の賠償能力はあるのか?」

→ 大手企業なら損害保険が完備されているが、地元中小企業は保険加入すらハードルが高い。

ジレンマ②:前例踏襲しか評価されない人事制度

「地元企業を使って成功しても評価は "当然"。失敗したら "なぜ大手にしなかった?" と責任追及される。」

→ リスクを取って地元企業を選ぶインセンティブが、制度的に存在しない。

ジレンマ③:応札者不足(1者応札)の常態化

「地元企業限定で公募しても、応募が1社だけ。競争が働かず、適正価格かどうかも判断できない。」

→ 地元企業の層が薄いため、結果的に県外大手に頼らざるを得ない。

💡 これは「誰が悪い」ではなく、「仕組みの問題」

行政担当者個人を責めても、構造は変わりません。必要なのは、「地元企業を選びやすくする仕組み」です。

✅ 【希望の事例】地元企業主導で成功した宮崎モデル

地元企業が主導すれば、宮崎でも全国トップクラスの成果を出せる――以下はその証明です。

✅ 霧島酒造株式会社(都城市)

事業内容: 芋焼酎製造(黒霧島ブランド)
経営方針: 「地域に根ざし、地域と共に発展する」
成果:
  • 15年間で売上約7倍に成長
  • 業界シェア1位達成
  • 地域雇用創出に大きく貢献
  • 原料は南九州産にこだわり、6次産業化を推進

霧島酒造は証明しています。宮崎で、宮崎の企業が、宮崎の資源で、全国No.1になれることを。

出典: 中小機構 地域活性化企業事例

✅ 宮崎県情報産業協会(MISA)

令和3年度「ICT技術導入企業等支援事業」では、県内企業のDX推進を地元IT企業が伴走支援しました。

成果:
  • 県内中小企業のICT導入加速
  • 地元IT人材の育成
  • 技術ノウハウの県内蓄積

地元IT企業は確実に成長しています。課題は、「大型案件に挑戦する機会」が不足していることです。

出典: 令和3年度 ICT技術導入企業等支援事業事例集

🏆 他県の成功モデル:札幌市の地元企業コンソーシアム

北海道札幌市では、DX推進事業を「札幌市内IT企業コンソーシアム」が受託。市がファシリテーターとなり、5社の地元企業を束ねて大型案件を完遂しました。
契約金は全額市内に残り、延べ120名の雇用を創出。

宮崎にできないはずがありません。

💡 【提言】宮崎資本を守り、増やす5つの戦略

批判ではなく、構造を変える具体策を提案します。

1️⃣ 地元企業連携スキーム+リスク分散制度の構築

  • 大型案件を地元企業コンソーシアムで受注可能にする
  • 県がファシリテーターとなり、地元企業間の協業を支援
  • 【新設】官民共同リスク基金の創設
    • 地元企業が公共事業で失敗した際の損害を補填する基金
    • 県と地元企業が共同出資(例:県70%、企業30%)
    • 瑕疵担保責任の上限を明確化し、地元企業が安心して応札できる環境を整備
  • 【新設】地元企業向け損害保険制度の導入支援
    • 県が保険料の一部を補助(初年度は最大50%)
    • 保険会社と連携し、宮崎県専用の公共事業保険商品を開発

2️⃣ 段階的県外依存脱却ロードマップ

年度 目標
2026年 情報システム県内発注率40%達成
(現状28.1% → +12pt)
2027年 業務委託県内発注率80%達成
(現状67.6% → +12.4pt)
2030年 公共工事県内発注率90%達成
(現状78.3% → +11.7pt)

3️⃣ 「チャレンジ枠」制度の新設

  • 地元企業が初めて挑戦する分野の案件には、「チャレンジ枠」を設定
  • 審査基準を「実績」から「提案力・育成可能性」へシフト
  • 失敗時のペナルティを軽減(次年度入札資格停止を免除など)
  • 県職員が地元企業を選んだ際の「説明責任」をガイドラインで明文化し、前例踏襲圧力を緩和

4️⃣ 地元クリエイター・マーケター登録制度

  • プロモーション案件を地元フリーランスに優先発注
  • ポートフォリオ審査制度で質を担保
  • 実績蓄積の機会を強制的に創出
  • 登録者には「宮崎認定クリエイター」認証バッジを付与

5️⃣ 県外からの受注獲得支援(資本流入の逆転)

  • MIYAZAKIブランドの信頼性・クオリティ向上
  • 県外企業からの業務受注を促進(資本流入の逆転)
  • 「宮崎でしかできないこと」で資本を集める戦略
  • 例:農業×IT、焼酎製造×デジタルマーケティングなど独自分野の強化

📉 【データが語る】県内総生産と建設業の関係

項目 令和4年度 令和3年度 増減率
県内総生産(名目) 3兆7,669億円 3兆7,175億円 +1.3%
建設業 2,672億円 2,806億円 -4.8%

出典: 宮崎県県民経済計算(令和4年度確報)

建設業の県内総生産が減少しています。
公共事業予算は維持されているにもかかわらず、です。

これは、大型案件が県外に流れ、地元建設業への発注額が実質減少している可能性を示唆しています。

🎬 【幻想を斬る】「動画を作れば終わり」は終わっている

もう一つ、致命的な誤解があります

「動画やクリエイティブを作れば、地域活性化できる」

動画制作は、もはや誰でもできる時代です。動画制作自体に価値はありません。

  • ✗ 動画は誰でも作れる
  • ✗ AIでも量産できる
  • ✗ 動画だけでは誰も見ない

本当に重要なのは:

✓ 何を軸にするのか(ブランド設計)
✓ 誰に刺すのか(ターゲット設計)
✓ 公開前に何を仕込むか(期待値設計)
✓ 公開後にどう回すか(拡散設計)
✓ WEB広告・継続施策まで含めた設計(長期戦略)

ここまで設計して初めて「意味」が生まれます。

動画は手段であって目的ではありません。

⚡ 【結論】変えるのは、今しかない

宮崎県GDP: 3兆7,669億円
年間推定流出額: 約435億円
流出率: 約1.2%

この数字は、宮崎から毎年"中規模市の予算1年分"が県外へ流れているのと同じです。

📊

過去30年間で失われた経済循環機会

10年間 4,350億円
20年間 8,700億円
30年間 1兆3,050億円

この30年間で、宮崎は1兆円規模の経済循環機会を逸してきた可能性があります。

必要なのは

✅ 地元企業を選びやすくする制度設計
✅ リスク分散の仕組み
✅ 失敗を許容する文化
✅ 段階的な県外依存脱却
✅ 地域内での完結スキーム

"誰が作るか"ではなく、"誰のために、どう設計し、どう回すか"です。

🔥 【共に考える】地域経済は、意志の問題

補助金でも、DXでも、東京の成功事例でもありません。

必要なのは、考え方を変え、構造を変えることです。

宮崎の経済を回すのは、宮崎の企業と人間です。

この当たり前を、行政・企業・県民が共に実行する時期に来ています。

🏔️ 宮崎でやるなら、宮崎とやる

宮崎で事業を続けるなら、覚悟を決める時です。

✓ 宮崎の企業とやる
✓ 宮崎の人材を育てる
✓ 宮崎で失敗し、改善する

県外・海外の企業は、最後の選択肢で構いません。

まずは、宮崎、もしくは周辺地域で完結させる

この意識を根付かせること。

それができない限り、どれだけ「地域貢献」を語っても、
実態が伴わないままです。

🚀 結論:宮崎の「自立」は、一人の決裁から始まる

「県外大手に頼めば安心だ」という幻想は、もう捨てましょう。その安心の代償として、私たちは年間435億円という莫大な未来の資本を差し出しています。

リスクを恐れて地元を排除するのは、行政の「仕事」ではありません。
「地元を最大限に活用し、足りない部分は地元で出来るように仕組みを整えること」
それこそが、宮崎を預かる決裁層が果たすべき、真のクリエイティブな公務です。

今、目の前にあるその発注先を、もう一度見直してください。その1枚の契約書には、宮崎の若者の雇用と、10年後のこの街の姿がかかっています。

宮崎の金は、宮崎で回す。
当たり前を取り戻す戦いは、ここから始まります。

📚 参考資料・データソース

  1. 宮崎県県民経済計算(令和4年度確報)
  2. 県内企業優先発注実施方針 令和6年度実績(PDF)
  3. 宮崎県委託業務一覧
  4. みやざきDXモデル企業創出事業 企画提案競技結果
  5. 外国人材受入・定着支援センター設置・運営等業務 企画提案競技結果
  6. 霧島酒造の地域貢献事例 - 中小機構
  7. 日本経済新聞:宮崎県25年度予算案

この記事は、宮崎県が公表している公式データと企業公開情報のみを基に作成されています。事実ベースの指摘であり、特定企業への誹謗中傷を意図するものではありません。地域経済の健全な発展を願う提言として受け止めていただければ幸いです。