HALHARE Column  /  Data & Insight

宮崎に足りないのは「施策」ではなく
「構造を変える意思」

データが示す30年の停滞と、次の10年をつくるための話。
感情でも批判でもなく、数字と事実だけで整理する。

HALHARE Editorial 2025 約 10 min read
よく見かける意見

「宮崎は穏やかで人柄も良く豊か。余生を過ごすには最高の県。足りないものが見当たらない。」

その感覚を否定するつもりはない。宮崎の自然・食・人柄・気候は、全国でも本物だ。

ただ一度だけ、感覚ではなく数字を見てほしい。数字は感情を持たない。ただ現実を示すだけだ。


01
Current Status

感覚ではなく、数字で見る「今の宮崎」

以下はすべて公的データの数字だ。不満を煽るためではない。「今どこにいるか」を正確に把握することが、次の一手を考える出発点になる。

県民一人当たり所得
46
245万円 / 全国平均327万円
差額 ▲82万円・最下位圏
人口増減(年)
▲1万人
毎年約1万人が減少
若者流出は九州でもトップクラス
大学進学率
40
48.6% / 全国平均60.8%
差 ▲12ポイント
農業産出額
6
3,720億円
きゅうり1位・宮崎牛4連覇
指標 宮崎県 全国平均 全国順位 状態
県民一人当たり所得 245万円 327万円 46 / 47位 🔴 最下位圏
人口増減(年) ▲1万人 減少継続 🔴 構造的減少
大学進学率 48.6% 60.8% 40 / 47位 🔴 下位
外国人宿泊者数 11.6万人 42 / 47位 🔴 低水準
農業産出額 3,720億円 6 / 47位 🟢 全国上位
農畜産物輸出額 115億円 最高更新 🟢 拡大中
県民所得(全国平均比) 74.9%

全国平均の約3/4しか稼げていない現実

大学進学率(全国平均比) 79.9%

若者が学びのために県外へ出て、帰らない構造

よくある反論への回答

「所得が低くても物価が安いから大丈夫」という声がありますが、実際には宮崎の物価水準は全国比で数%しか安くありません。▲82万円の所得差を相殺するほどではないのです。

これは批判ではなく、現在地の確認

次の世代が戻ってきたくなる経済があるか。ここで挑戦できる場があるか。今を生きる人には穏やかかもしれない。でも、それだけでは次の10年はつくれない。

02
Success Cases

宮崎がこの20年で「実際に動かした」数字

誤解してほしくない。宮崎には確かに成功事例がある。ただしそれらを並べると、ある共通点とある限界が見えてくる。

1994年〜現在 / 農業戦略
みやざきブランド戦略
— 30年かけて積み上げた、農業の本物の強さ
6位農業産出額(全国)
3,720億円年間産出額
1位きゅうり(全国)
2位マンゴー(全国)
4連覇宮崎牛・和牛共進会
814億円6次産業化販売額

1994年「みやざきブランド確立戦略構想」策定から30年。「作ったものを売る」から「売れるものを作る」への発想転換が功を奏した、宮崎でほぼ唯一の本物の成功モデル。

農業以外への産業波及は限定的。強くなるほど「農業一本足」のリスクも高まる。
2013年〜 / 地方創生
日南市・油津商店街 IT企業誘致
— 全国モデルになった「民間人登用」の実験
15社IT企業誘致
170人雇用創出
29店舗4年間の誘致実績

民間人を行政が登用し「4年で20店舗」という数値目標を設定。安倍元首相が「地方創生の成功事例」として名指しし、全国から視察が殺到した。

日南市全体の人口減少は依然継続。点の成功を面に広げる難しさが残る。
2010年代〜現在 / 海外展開
農畜産物輸出拡大
— 毎年更新する「稼ぐ構造」の成功
115億円2023年度(過去最高)
+7〜10億年間増加ペース

県外・海外にお金を稼ぎに行く数少ない「攻めの構造」。毎年着実に拡大している。

輸出先の約24%が香港に集中。アジア依存度が高く、地政学リスクの分散が課題。

03
Unchanged Facts

同じ14年間で、動かなかった数字

農業・スポーツ・観光で成果は出た。しかし以下の数字はほぼ変わっていない。

  • 県民所得 全国46位 → 14年間、46位付近のまま。日本でも最低水準
  • 人口 → 毎年▲1万人の減少が継続。若者の流出は九州トップクラス
  • 大学進学率 全国40位 → 構造的に固定。若者が県外へ出て帰らない
  • 新産業・スタートアップ → 14年間でほぼ皆無。IT集積はゼロに近い
成功の共通点と限界

成果が出た施策の共通点は「もともと強いものを、さらに強くした」だけだ。 農業、スポーツ、観光。これらは正しい。でも、それだけでは「弱い構造」は変わらない。


04
Municipal Cases

市町村レベルで「構造を変えた」3つの事例

実は県の施策ではなく、市長・町長の判断と民間の連携で数字を動かした場所がある。

都城
都城市 / ふるさと納税 → 子育て → 移住
宮崎で唯一「人口が増えた」市
— 財源を「次の施策」に変えた好循環設計
193億円ふるさと納税(全国1位)
3,710人2023年度移住者
83%移住者が20〜40代

「肉と焼酎」で稼いだ財源を「子育て三ツ星タウン」(無料化施策)と最大500万円の給付金に再投資。前例のない施策で人口増を達成した。

移住者の40%が県内他市町村から。県全体の人口が増えたわけではない。
川南
川南町 / 農業 × 食品加工 集中型
強みへの「選択と集中」で経済を拡大
— 宮崎でも異例の成長を遂げた畜産の町
約2倍農業産出額(10年成長率)
40%町GDPを農・加工が占める

予算を分散せず、強みに一極集中した判断が数字を動かした。
※数値はRESASおよび町統計資料に基づく推定値

市町村 戦略の核心 主な成果 課題
都城市 納税→子育て→移住の循環 移住3,710人・人口増 県内転入が4割
日南市 民間人登用×数値目標 IT15社・170人雇用 市全体の減少は継続
川南町 農業×加工への集中投資 産出額 約2倍 疫病・災害リスク
県全体 既存の強みのさらなる強化 所得・人口は変化なし 構造改革に未着手
The Common Pattern
数字が動いた場所の
成功の法則はシンプルだ
1
トップが数字で目標を先に決めた

ビジョンではなく、数値目標を先に置いた。

2
「無難」の真逆をやった

「前例がない」と言われるリスクを取った場所だけが動いた。

3
民間・外部と連携した

外部資本・外部人材を取り込んだ施策だけが成果を出した。

05
Our Mission

なぜHALHAREは宮崎でやるのか

宮崎に足りないのは「施策」の数ではない。 「民間で稼ぎ、構造を変える」という当事者の数だ。

私たちは行政ではない。だから、予算を配ることはできない。 しかし、WebとSNS、そしてデータの力を使い、宮崎の企業の「稼ぐ構造」をアップデートすることはできる。

REVENUE DRIVEN
Web・SNSの統合運用
  • フォロワー数ではなく「売上」を追う運用
  • 宮崎の強みを県外・海外へ届ける広告戦略
  • ショート動画を活用したブランド体験の設計
STRUCTURE OPTIMIZE
業務・採用のDX支援
  • 「人が足りない」をITツールで解決する
  • 県外の優秀な若者が「働きたい」と思うWeb発信
  • 補助金に頼らない持続可能な投資サイクル

地方創生という言葉が手垢にまみれる中で、私たちが信じているのは「目の前の商売を強くする」という泥臭い事実だ。
1社が稼げば、1人の雇用が守れる。1人の若者が宮崎に残れば、次の10年が少しだけ変わる。


Conclusion

もう一度、この数字を置いておく

県民所得 全国46位
245万円。この差を「物価が安いから」で片付けてはいけない。
人口減少 毎年▲1万人
10年で10万人が消える。今の「穏やかさ」は、縮小の上に成り立っている。
大学進学率 全国40位
48.6%。学ぶ前に県外へ出る構造が固定化されている。

「穏やかな宮崎」と「挑戦できる宮崎」は、両立できる。

都城市が動いた。日南市が動いた。川南町が動いた。
どれも「本気でやる」と決めた場所だけが変わった。

宮崎を出て、戻ってきた。
実績はまだ少ない。でも、何もしないよりまし。
そして誰かが先にやらなければ、何も変わらない。

だから今日も、宮崎でやっている。

HALHARE / USAGI CLOUD COLLECTIVE
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