なぜ宮崎は20年間成長しないのか|HALHARE
Economic Analysis Report 2026

なぜ宮崎は
20年間
成長しないのか

県内総生産(名目)20年成長率
+約3%(全国平均 +約18%)
1人あたり県民所得 全国順位
46位(7年連続・47都道府県中)
2024年 20代転出超過
−1,455人(全国10位の流出規模)

日本がデジタル革命に揺れた20年間、宮崎県の経済規模はほぼ横ばいのままでした。物価上昇を加味すれば、実質的には「じわじわとした衰退」が続いています。
でも、これは仕方ないことじゃない。構造的な問題が放置されてきた結果であり、逆に言えば、仕組みを変えれば伸びしろがある、ということでもあります。

46位
1人あたり県民所得
全国順位(令和3年度)
出典:宮崎県県民経済計算(内閣府準拠)
383万円
宮崎県の平均年収
(全国45位 / 2022年)
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査
3.77兆円
県内総生産(名目)
2022年度
出典:宮崎県県民経済計算(令和4年度確報)
Structural Defect 01

稼いでも稼いでも外に流れる「ザル経済」

宮崎県内で一生懸命作られたお金が、気づかないうちに県外へ出ていってしまっています。旅行予約サイト、広告会社、食品の流通ルート…どれも東京を中心とした県外企業が担っていることが多い。「宮崎産」なのに、利益の大部分は宮崎に残らないんです。

「頑張れば頑張るほど、県外が潤う」。
これがザル経済の本質です。
図解:資本流出モデル(宮崎経済圏)
▼ 県内で生み出される付加価値
宮崎経済圏
OTA・予約
手数料
〜22%
県外への
広告・Web
制作発注
流通・
中抜き
マージン
稼いだお金のうち、県内に残るのは…
40%未満 (HALHARE推計:県外依存構造を踏まえた試算値)

特に観光業で顕著です。宿泊料金の約20%がじゃらんや楽天トラベルなどのプラットフォームへ自動的に送られ、県内の宿の「手残り」は薄くなっています。公式サイトを整備して直接予約を増やすだけで、手残りが大きく変わる計算になります。

Structural Defect 02

若者が「合理的な判断」で出ていく

2024年の総務省データによると、20代の転出超過で宮崎は全国10位(年間−1,455人)。若者に「地元愛を持って残れ」と言う前に、「なぜ出ていくのか」を経済的に考えてみましょう。

−1,455人
20代の転出超過(2024年)
総務省の住民基本台帳人口移動報告より。特に15〜19歳の流出が最大層。
383万円
宮崎の平均年収(全国45位)
東京の平均と比べると生涯で数千万円の差が生まれる可能性があります。
46位
1人あたり県民所得(7年連続)
稼いでも稼いでも指標が改善しない構造。労働生産性の低さが根本原因。

若者が「宮崎で働くより東京や福岡の方が稼げる」と感じるのは、感情論ではなく事実です。この格差を放置したままでは、10年後20年後の地域経済を担う人材はさらに細っていきます。

Structural Defect 03

デジタル投資が「圧倒的」に少ない

宮崎は農業・観光・食品加工が強い「アナログな強み」を持つ県です。だからこそ、デジタルへの投資が遅れ、その恩恵を受けにくい状態になっています。

住民1人あたり年間デジタル関連予算 比較(2024年 HALHARE試算)
東京都¥8,742 / 人
全国平均(推計)¥3,200 / 人
宮崎県¥1,247 / 人
※総務省「地方自治体における情報通信基盤の利用状況調査」等を参考にHALHARE編集部が試算。東京との比較は特に大きな参考値であり、全国平均との比較も踏まえてご参照ください。

デジタル予算が少ない=行政サービスのオンライン化が遅れる=IT系の仕事が生まれにくい=ITエンジニアが来ない・残らない。この連鎖が続いています。

デジタル予算が少ない
IT産業が育たない
エンジニア・クリエイターが来ない
高付加価値産業の空洞化
Structural Defect 04

「農業×観光」に偏りすぎた産業構造

宮崎の強みである農業・観光は「労働集約型」の産業です。たくさん人手をかけて、一定の成果を出す。これ自体は悪くないのですが、問題は労働生産性が全国最低水準のまま改善しないこと。

産業 宮崎の強み 生産性 デジタル化の余地
農業・畜産 全国トップクラスの産出量 低め スマート農業で大幅改善可
観光・宿泊 温暖な気候、自然資源 低め 直販×体験型で単価UP可
情報通信 現状は非常に小さい 高い 最も成長余地がある
製造業 食品加工、電子部品 中程度 DX化で生産性改善可

宮崎県自身の分析でも「情報通信や製造業などの資本集約型産業の生産性が高い」と指摘されています。逆に言えば、今の主力である農業・観光の生産性を上げるか、情報通信産業を育てるかが、今後の鍵になります。

Structural Defect 05

「域内循環」が機能していない

お金が地域内でぐるぐると回る「地域経済の循環」。宮崎は大消費地から遠く、地元で生まれた利益が地元に再投資されにくい構造があります。クリエイターやエンジニアへの発注も「信頼できる県内業者がいない」と言って県外に出てしまうことが多い。

宮崎にもデザイナー、エンジニア、マーケターはいる。
ただ「探せる場所」がないだけ。
繋がる仕組みを作るだけで、お金の流れが変わります。

What We Can Do

こうしたら宮崎、もっと面白くなると思う

問題の構造がわかれば、やることも見えてきます。大きな予算も、行政の承認も、最初から必要ない。「やる気のある人が一つずつ積み上げる」ことで変わります。

Solution 01
直販(D2C)に
切り替える

予約サイト・流通業者への依存を減らし、消費者と直接つながる。農家・宿泊・飲食それぞれで実現できれば、利益の手残りが20〜30%変わる可能性があります。

Solution 02
県内クリエイター・
IT人材をつなぐ

広告・Web制作・動画など、「どうせ東京に頼む」をやめるだけで、年間何億円ものお金が県内に残ります。HALHAREはその受け皿を目指しています。

Solution 03
データで判断する
経営をする

「なんとなくやってみた」施策ではなく、ROASや顧客単価などの数字を追う文化を宮崎に根付かせる。小さな農家でも、宿でも、今すぐできます。

具体的なアクションとして、こういうことから始められます。

1
自社の公式サイト・SNSで直接予約・直接販売の導線を作る

「OTAを使わない」じゃなく「OTAも使いつつ、直販比率を少しずつ上げる」。これだけで利益構造が変わります。

2
次の外注は「宮崎の人に頼む」を一度試してみる

Webサイト、写真撮影、SNS運用…宮崎にもできる人はいます。UCC(USAGI CLOUD COLLECTIVE)のようなプラットフォームを活用してみてください。

3
自社のデータを「見る」習慣を作る

Googleアナリティクス、予約率、リピート率。無料ツールで見られるデータを毎月確認するだけで、何が機能しているかがわかります。

4
スマート農業・IoTの補助金を調べてみる

国や県からのDX補助金は年々充実しています。生産性を上げる投資は、今なら支援を受けながらできるチャンスがあります。

The Bright Side

でも宮崎には「逆転できる理由」がある

問題点ばかり並べましたが、宮崎には他の地方にはない強みもあります。悲観するためではなく、「こう使えば勝てる」という視点で見てほしい。

STRENGTH 01
コストが安い = チャレンジしやすい

東京と比べて家賃も人件費も低い。スタートアップや新規事業を試すには、失敗コストが小さい宮崎は絶好の環境です。

STRENGTH 02
農業・観光の「本物の素材」がある

宮崎牛、日向夏、マンゴー…「本物のブランド素材」がある。あとはそれを適切にデジタルで届ける仕組みさえ作れば、全国・海外に売れます。

STRENGTH 03
まだ「先駆者」になれるタイミング

他の地方都市はもうDXを進めつつある。でも宮崎はまだ遅れている。遅れているということは、今動けば「最初に変えた人」になれるということ。

STRENGTH 04
人の温かさと「つながりやすさ」

宮崎は移住者・外部人材に対して比較的オープンな文化があります。東京から来たクリエイターや起業家が活躍しやすい土壌が育ちつつあります。

20年後の宮崎を、
自分たちで変えていこう

一人じゃ難しくても、仲間と動けば変わります。
USAGI CLOUD COLLECTIVE は、宮崎発の新しい経済圏を目指す場所です。

参加する・詳細を見る →

データ出典・注意事項

本ページの統計数値は、以下の公的資料をもとにHALHARE編集部が推計・作成したものです。一部はHALHARE独自の試算値を含みます。

  • 内閣府「県民経済計算(令和3〜4年度)」
  • 宮崎県「令和3年度県民経済計算推計結果の本県順位等」(令和6年12月)
  • 総務省「住民基本台帳人口移動報告(2024年)」
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2022年)」
  • 総務省「地方自治体における情報通信基盤の利用状況調査」(デジタル予算試算の参考)

掲載数値は推計値を含み、年度・分析手法により変動します。正式データは原典にてご確認ください。

追加出典(参考資料)
  1. 総務省(PDF)
  2. 宮崎県:令和3年度県民経済計算推計結果
  3. 宮崎県統計ポータル
  4. e-Stat(政府統計ポータル)
  5. 内閣官房(地域資金循環レポート)

最終更新:2026年4月 / © HALHARE