宮崎県に本当に足りない「たった一つの組織像」とは何か | HALHARE COLUMN

宮崎県に本当に足りない
「たった一つの組織像」とは何か

20年分の停滞を突破するための設計思想

宮崎県には、優秀な企業がある。

AGRISTのように世界を見据えた農業AI企業もある。
ライトライトのように、事業承継を通じて地域経済の根幹を支える企業もある。
都城市のように全国トップクラスの自治体DXモデルも存在する。

にもかかわらず、なぜ宮崎は
働きやすい」「挑戦しやすい」「住み続けたい
という実感を、県全体として持てていないのか。

答えは、能力や努力の不足ではない。
"組織構造"が一つ、決定的に欠けているだけだ。

結論

宮崎に足りないのは
「産業編集組織」である

なぜ今まで宮崎は伸び切らなかったのか

成功が"点"で終わってきた

宮崎では、これまでも成功事例は生まれている。

  • 農業の先進事例
  • 観光コンテンツ
  • 地域密着ビジネス
  • 行政DXの成果

しかしそれらは常に単発で終わってきた

👉 理由: それらを横断的につなぎ、再利用し、次へ渡す組織が存在しなかった

人材が循環せず、蓄積されない

宮崎の若者は外へ出る。外から人が来ても、定着しにくい。

なぜか。

  • 挑戦すると生活が不安定になる
  • 失敗すると居場所がなくなる
  • 副業・複業の仕事が点在しているだけ
👉 つまり: 人が「一時的に滞在する場所」にはなっても「挑戦し続けられる場所」になっていない
15〜24歳 進学・就業期の若年層流出が最大
社会減の主要因

情報が"発信"で止まり、"編集"されていない

宮崎には情報はある。しかしそれは、

  • バラバラ
  • 内向き
  • 文脈がない
👉 結果: 「外の人には魅力が伝わらず」「中の人も全体像を把握できない」

宮崎に必要な"1つの組織像"

それは「第3の存在」

✗ 行政でもない
✗ 企業でもない
✗ ただのメディアでもない

役割はこの4つを同時に担うこと

🔗

① 産業を"横断編集"する

農業 × AI × デザイン
観光 × 映像 × ストーリー
行政DX × 民間プロダクト
事業承継 × 移住 × 仕事

これらを意図的につなぐ。

👥

② 人を"循環させる"

正社員だけに依存しない
複業・委託・プロジェクト型
地元 × 外部人材の混成チーム

「宮崎に関わる人口」を増やす装置。

📖

③ IP・物語を生み出す

数字や制度では、人は動かない。

  • 語れる象徴
  • 誇れる物語
  • 参加したくなる世界観

これを意図的に設計・発信する。

🧪

④ 実験できる"場"を持つ

小さく試す
失敗しても次がある
すぐ改善できる

リアルとデジタルを横断した「地域実験場」として機能する。

🛤️ 実装の流れ(ワークフロー)

1
方針策定
県・市が予算確保とビジョン提示。成果評価基準を設定(売上・継続・雇用)
2
実行組織設立
民間企業連合(3〜5社)を核に専任チーム結成。事業経験者・クリエイター・マーケターを配置
3
実験プロジェクト開始
産業横断の小規模実験を10本同時スタート。現場企業・個人を巻き込み検証
4
IP・メディア構築
地域IP立ち上げ、産業横断メディア開始。成功事例を可視化・編集・発信
5
人材循環モデル確立
複業人材マッチング、プロジェクト参加の仕組み化。外部人材と地元の継続的連携
6
成果評価・拡大
3年サイクルで評価。成功モデルを県内他地域へ展開、全国モデル化

正しい役割分担モデル(三層構造)

🏗️ 宮崎を変える組織構造

方針・資金レイヤー
県 + 市町村
  • ビジョン提示: 「何を目指すか」を明確化
  • 予算確保: 年間5,000万〜1億円規模
  • 成果評価: 売上・継続・雇用で測定
👉 重要: 現場には口出ししない。方向性と評価に集中。
実行レイヤー(主役)
企業連合
  • 民間企業数社: 固定メンバーではなくプロジェクトごとに編成
  • 役割分担あり: デザイン・技術・マーケティング等
  • 収益責任あり: 成果が出ないと継続できない仕組み
👉 ここが主役。 行政の下請けにならず、対等な立場で事業を回す。
実験・現場レイヤー
地域・人
  • 地元企業
  • 個人事業主
  • クリエイター
  • 農家・現場
👉 試す場所。 小さく実験し、成功パターンを見つける。

なぜこの形が宮崎に必要か

宮崎の課題は「人が少ない」「産業が分散」「失敗が許されない」

だからこそ、個人の熱量に依存しない構造として回る仕組みが必要。

なぜ県・市・商工会・財団は機能していないのか

構造的問題の本質

支援する側が「事業を回した経験」をほとんど持っていない。

これが根っこにある問題です。

項目 既存支援組織 必要な新組織
評価軸 実施件数・参加人数 売上・雇用・継続率
担当者 2〜3年で異動 専任・事業経験者
リスク 失敗できない 失敗前提で設計
つなぐ役割 名刺交換で終わり 継続的な伴走
支援対象 安全な事業のみ 尖ったアイデア歓迎
立場 上から目線 横並び・対等

支援ではなく「一緒にやる側」が必要

宮崎に必要なのは「支援」ではなく「一緒にやる側の組織」

❌ これまでの支援組織

  • 上から目線
  • 単発
  • 制度中心
  • リスクを取らない

✅ これから必要な組織

  • 横並び
  • 継続
  • 現場中心
  • リスクを分け合う

なぜ「一体感」が生まれないのか

宮崎には"情報"はある。でも"日常の接点"がない

正直に言うと、宮崎にはすでに多くの取り組みが存在しています。

求人媒体もある。観光情報の発信もある。地域メディアもある。
商工会、県、市町村、それぞれがそれぞれの役割で動いている。

「何もやっていない」わけではない。むしろ、やっている。

それなのに、なぜ
「宮崎の企業としての一体感」
「企業同士の横のつながり」
「日常的な情報共有」
が生まれないのか。

理由はシンプルです

  • 連携が"イベント"で止まっている
  • 年に数回の会合 → 名刺交換 → 形式的な意見交換 → また日常に戻る
  • この繰り返しです。

日常的に混ざる場所がない。これが最大の問題です。

役職ごとに分断されている"見えない壁"

👔

社長は社長同士

経営者層のネットワークは強いが、現場の声が届きにくい。

📊

役員は役員同士

戦略的な会話は成立するが、実行レベルの情報が不足。

💼

担当者は担当者同士

実務の共有はあるが、役職を越えた発信は難しい。

でも、現実はどうか

営業や企画、現場の社員が知っている情報のほうが、社長や役職者よりもリアルで、今すぐ使えることは山ほどある。

これはどの会社でも当たり前の話です。

にもかかわらず、

  • 空気を読む
  • 間違えたら怖い
  • 立場的に発言しづらい

そんな理由で、情報は会社の外に出てこない。

👉 強調: 機密情報を出せと言っているわけじゃない。競合を排除しろと言っているわけでもない。

資本主義の当たり前

同業他社があるのは資本主義では当たり前。
比較されるのも、健全な市場では当然のこと。

それを避け続けた結果、
何も混ざらず、何も生まれなくなっている。

本当に必要なのは「新しい組織」ではない

本当に必要なのは

肩書きを一旦外して
「宮崎で働く人」として
日常的に会話できる"場"

それだけです。

🤝
役職関係なし
社長も新人も同列
🏢
同業・競合OK
比較は成長の源
💬
雑談OK
日常会話が基本
🆘
相談OK
助け合いの文化
📢
宣伝もOK
(空気は読む)
🔄
入退室自由
強制なし

Slackでも、Discordでもいい。
重要なのは毎日触れる距離感

一体感は理念からは生まれない。
毎日の雑談からしか生まれない。

行政でも商工会でもない「第3のレイヤー」

なぜ公的機関では作れないのか

この手の場は、行政・商工会・公的団体では正直つくれません。

⚖️ 公平性

特定企業や個人を優遇できない

📋 責任

失敗や炎上のリスクを取れない

👁️ 管理コスト

全ての発言を監視・管理する必要

フラットさと相性が悪すぎる。

👉 だから必要なのは: どこにも属しきらない民間による、空気を読める運営。
🔗

企業間の自然な連携

「これ誰詳しい?」「一緒にやらん?」が日常的に起こる

👥

人材の横断的なつながり

孤独にならない。県外に行かなくても刺激がある。

💪

「宮崎でやれる」実感

東京に行かなくても、ここで挑戦できる。

📈

社長も助かる

現場の声が入る。他社の実情が見える。判断精度が上がる。

📊 データで見る宮崎の現状

数字が示す構造的課題

📉 103万人
2024年10月時点の人口
(2040年には約89万人予測)
🎓 15〜24歳
最も流出が大きい年齢層
進学・就業期の県外流出
🏢 中小企業
県内企業の大多数
新規学卒者の県内就職率が低い
⚠️ W減
社会減 + 自然減
人口減少の二重構造

💡 構造的課題の整理

  • 人材流出: 挑戦すると生活が不安定、失敗すると居場所がなくなる
  • 産業分散: 成功事例が横につながらず、単発で終わる
  • 情報断片化: バラバラで文脈がなく、全体像が見えない
  • 支援機能不全: 実施件数重視で、成果(売上・雇用)を追わない
  • 挑戦不可能: 失敗が許されず、尖ったアイデアは県外へ

停滞の理由

人が無能だからではない。
構造が「挑戦を殺す形」だから。

そして今、あなたが読んでいるこの記事は——
その構造の"外"に、新しいレイヤーを作ろうとしている

✨ 参考モデル: 全国の成功事例

リビングラボ

📍 秋田県湯沢市 × 横浜市

双方の地域課題を、双方の市民や企業が解決し合う仕組み。

特徴:

  • 自治体同士の課題共有
  • 市民・企業の横断参加
  • 実験的プロジェクトの継続実施

宮崎への示唆:

  • 県内複数市町村 + 県外都市の共創可能性
  • 課題を「資源」として捉える視点

熱意ある地方創生ベンチャー連合

📍 ITベンチャー10社による連合組織

行政とベンチャー企業の架け橋として地方創生を推進する一般社団法人。

特徴:

  • 企業連合による機動力
  • 自治体との対等な関係
  • プロジェクトベースの編成

宮崎への示唆:

  • 固定メンバーではなく、案件ごとの最適編成
  • 民間主導で行政と協働する仕組み

官民共創未来コンソーシアム

📍 社会課題解決の実践型プラットフォーム

自治体と企業の双方向対話を通じて、地域課題を社会課題として再定義。

特徴:

  • 立場を超えた手の取り合い
  • 新たな価値の共創
  • 実践重視のアプローチ

宮崎への示唆:

  • 「支援」ではなく「共創」の関係性
  • 対話を設計の核に置く重要性

今、あなたができること

この記事を読んだあなたが、すでに「変化の一部」です。

次のステップは簡単です。

🗓️ 実現までのロードマップ

3ヶ月

フェーズ1: 対話の場づくり

宮崎で働く人が肩書きなく話せるコミュニティスペース(オンライン/オフライン)を立ち上げ。毎日触れる距離感を重視。

6ヶ月

フェーズ2: 実験プロジェクト始動

産業横断の小規模プロジェクトを10本同時スタート。現場企業・個人を巻き込み、成功パターンを検証。

1年

フェーズ3: IP・メディア構築

成功事例を可視化・編集し、宮崎独自のIPとして発信。関係人口を増やし、人材循環モデルを確立。

宮崎は、何もないんじゃない。
つなぐ仕組みがないだけ。